平坦に思えるほど緩い坂道を。

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zoom RSS 「私にはそんなすれっからしに見えなかったけど」

<<   作成日時 : 2012/07/25 12:02   >>

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 ちょっと前の話になりますが、19日木曜夜VACANTでおこなわれた『秦早穂子×菊地成孔「ヌーヴェル・ヴァーグ前夜」』に出かけてきたのです。
 感無量…!でした。仕事がたてこみそうな日で申し込みも結構悩んだのですが、行ってよかったー!案の定遅刻して立ち見2時間以上だったけど…で、しゃがんだり屈伸したりしてたらショーの撮影スタッフの方(三脚で自動だったの!念のため!)が座布団持ってきてくださったりし申し訳なかったですが、
 よもやワタクシごとき一般人が秦早穂子さんの姿を、お話を、きちんと長い時間受け止められる機会があるなど思いもよらなかったのでありがたやありがたや〜!!!
 奇しくも…というのでしょうか、今年元旦私が手に取ったのが『パリ・東京井戸端会議』(再再読)でして…当然カッコイイナーおふたりとも!とうっとりしつつ、途中体調を崩したり仕事がうまくたちゆかなくなったり会社を辞める決意をする秦さんに「この時代にこういう…きっちり納得できる仕事をしたい<本気の女性>が欧州と日本を行き来しながら何十年も生きるって、想像を絶するきつさだったろうな〜」と頭が下がりながらも終盤は胸がふさいでしまって…
 それに呼応するように!(あくまでたまたまですが)『影の部分』が出たという…そんなこの半年の流れには運命的なものを感じざるをえません。(だから<あくまで>「一方的に」ですけども〜)
 秦早穂子さん。
 その名は自分のようなハンパなフランスかぶれ(なもんですから、彼女の著書でも『映画、輪舞(ロンド)のように』『おしゃれの平手打ち』『スクリーン・モードと女優たち 』あたりにことごとくやられた口…)も存じ上げるほどですから、深〜くフランス映画やフランス文化、映画ファッションに造詣を持つ人には伝説のような存在の女性、であります。
 そういえばたった一度だけ!群衆の一員として(今回もだけどよ〜)彼女をお見かけしたことがあってですね、
 パリにいったときたまたまシネマテークフランセでアンナ・カリーナを招いてゴダール映画を観るシンポジウム? みたいなのに参加し、10年前とかですからカリーナもすっかり「凄みあるマダム」に変化しててそこがまたかっちょよかったのだけれども、連れてってくれた在住知人が秦さんを見つけ…「ほら、あそこー!」つってー。
 マアつまり「盗み見」たわけですが。どんな分野もでしょうけれども、いい悪いじゃなく最初は誰でもなんでもピカピカすぎてなじまず…たとえば同じ日本人でも旅行者と長期滞在者と在住者ははっきり違って見えますよね? そういう点からも(当たり前すぎる話だけれど)これ以上ないほど「完璧にとけこんで」!!!なお「威風堂々」!!!としておられるそのお姿にうわー!!!!と感激したのをはっきり覚えているのです。
 (お客としていらしてたのか、のち登壇したかは知りません。疲れてテキトーに切り上げてしまったから。ヨーロッパ人の深夜からの体力すげえもんなア〜。でもこっちと違ってウィークデーの仕事にボスもヒラもさほど重きをおかない、つーか「やることやってりゃいいんよ!」て感じだからなにかと成り立ってんのかもー)
 そしてそして。2012年初夏の秦さんもまた!!!「カッコイ〜イ!!!」としかいえないおかしがたい威厳を携えつつアンニュイ〜なご様子で。
 深み? 厳しさ? 孤独を厭わない潔さ? フジコヘミングさんなどもですが、薄っぺらな若人には決してない…つっても単に年を重ねただけともまったく違う!!!腰の据わった不敵さが!!!もーほれぼれしちゃう雰囲気〜!!!
 だってさー「魔女みたいって言われるのよ…」なーんてイカしたセリフ、ほとんどの老女には吐けないでしょ??? (「かわいいおばあちゃんになりたい願望をわざわざ第三者に発するメンタルのよーなもの」に懐疑的な私としてはなおさらシビれたよね…だからって魔女方向も100パー無理だけどさ!!!高み過ぎて)
 ゴダールやカリーナ、そしてカメラマンのラウル・クタールとの交流や、彼らとの秘蔵スナップ(マジですごかった!秘宝だよ秘宝!)をシャープで落ち着いた切り口で説明してくださり、トーク相手の菊地成孔さんさえも「若造」扱いになるさまにはフフフフ…と何度も微笑んでしまいましたし〜。
 ゴダールが、カリーナが、あるいはジーンセバーグやベルモンドが。単に「映画好きで純粋な若者」とかじゃなかったのは作品を見れば一目瞭然と思うのですけれども(決して悪い意味ではなく。セクシーとか陰影とかって裏表のない善人じゃ表現できないから〜)その「ちょっとアレ」な部分を、
 他人からのまた聞き(および不正確な情報を無関係な人によってただ拡散されただけ)で知るのではなく、「そこに現にいた方!」から聞くことができる幸運ったら!!!!はあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜素晴らしい夜だった…。

 というところで。秦さんの最新刊『影の部分』には書きたいことがありすぎるのでまた別の日に記すとして、
 私が最近「将来を考えるときふとよぎる」シーンに、23歳くらいに訪れたパリのカフェで(すみませんいちいち…洋服にも夜遊びにもお金を使わず飛行機に乗ってた時代のある人なんだ…趣味の問題だしホラア…程度に受け止めていただければ幸いです)
 日本人のおばあさんに声をかけられ、代理で電話をかけてほしいと頼まれたときのこと。てえのがありまして。
 その人は母国の部屋を処分し「どうせならパリで死にたい」つって犬と(足元には若くなさそうなマルチーズがいたのよネ…)モンマルトルの安ホテルに滞在中なのだが、あまりにどんどんお金がなくなるので皿洗いのバイト募集に応募したい…ついては話せそうなあなたに様子伺いと面接の予約の電話だけでも…!という話だったのでした。
 「日本食レストランなら日本語を話す人がいるから直に行ったほうが早いのでは?」と言っても「無駄足になるのがいや」だし「電話のかけ方もよくわからない」と。「この人これでアパルトマンとか借りれるのかなアー」と思いましたが、同国人の目上の方…親切にすべきに決まってる!!!
 つってー。電話をかけ「名前はこうで何歳の日本人女性。フランス語はほぼダメ。見た感じいい人そうですけどね…私はあくまでカフェで隣り合わせただけで保証人にはなれないし名も名乗れませんが」とか話し、行き方と何時くらいに誰あてにみたいなことを聞き出したのです。(アタシもカタコトでなー)(お約束で「キミがくればいいのに〜」とかも言われたけれど、秦さんがピシャリとおっしゃったように数年後「日本の女が愛されてるのはそこそこホントだが…ていよくバカにされてる気配も濃厚やな〜」と理解するようになる私はすでにこのときも「ハイハイ」て感じだった)
 彼女のその後は一切知らないし、コーヒーをご馳走になりながら聞いた「家賃が払えなくなったらスイスの山でこの子(犬)と眠るように死ぬわ…」とかいうのが本気だったのかもわかりませんが。
 だがしかしとにかく、私はそのときすら彼女を「哀れ〜」と微塵も思わなかったし(「無謀だなー」とか「人っていくつになっても道を選べるんだな無茶すれば…」とかは考えたけれど)
 今となってはさらに!ことごとく!「これはアレだな…!!!」ですよ。「いざとなったらアレっきゃない!」「むしろ未来の私との邂逅だったのかもしれん」と…。
 …きちんと選択をして偉業をなした秦さんと、かなりの確率で「思いつき(日本を捨てるきっかけになるような「絶望」が彼女を襲ったのは間違いないが)」によって引っ越してきちゃったおばあさんとでは土台からして違いますが(初めから重ねても比べてもいませんけれども。もっと言えば優劣もない)、
 トークショーの帰り道、案外真っ暗になる原宿で。私はしつこくしつこく「あのときカフェで犬を連れてたおばあさん」のことを考えていたのです。だからここに書き添えておきたい。
 自分はおばあさんサイドの人間で、それは歴然としているけれども、だが「そうだったからってなんだろう」と。
 孤独とか孤立とかひとりとかという状況はなににしろどんな人にしろ悲しいとかかわいそうなだけでなく、けっこうぎりぎりまで自由だけはあるんだ、と。
 そして、それら(孤独、孤立、決断、自由)はなんて気高く、誰にも物言わさぬ価値が付与されるのだろう、と…!

 あー!!!長くなっちゃったア〜。
 『屋根裏部屋のマリアたち』というフランス映画の感想も書きたかったんですが、これまた後日…にできたらします!
 こっちは秦さんおっしゃるまさに!「変容したのちのフランス映画」で、わかりやすく凡庸でドッスーンな部分がまるでないアレだったんですけれども、
 なんちゅうのかな〜? 別にこれはこれでいいじゃんって。こういうのが数並ぶなか(クソレベルは論外&時間の無駄なので見るつもりもないが)ときどきギャー!!!てのに出会えれば〜私はそれで〜みたいな類の作品でした。
 (ちなみに私のオールタイムスキスキ第一位は『勝手にしやがれ』なんですのよーう。今回の日記にあつらえたように!!!んでもって、ちなみに総合得点でのベストは『裏窓』か『めまい』です!!!ベストっていいつつ2つあるけど!その区分けはなんやねん!て感じですけども →でも伝わるよネー★)

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